高速道路の標識の文字を見てると、近づいて行けば行く程に不細工になる形に驚く。まるで悪夢の様に、欲求したものがするすると抜けて行く様な感じや、アイド
ルへの憧れのように、近づけば近づくほど、遠くに行ってしまうような魅力がある。印象からの実体は決して求めていた形でそこには無い。印象をうけたモノが
全てで、それ以上近づくことも遠ざかる事も出来ない。まさに印象派の絵画のようなのだ。近づいてみても、モチーフの細部は現れない。しかし、モチーフの実
在を感じてしまい、それがある状況すらも感じてしまって、それが不可解でしょうが無く目が離せなくなってしまう。空気感を作り、その空気感に触れたものに
その空気を流す程の威力があるのだ。そのような科学が使われて出来ていると思って高速の文字を見ると、とてつもない美しさを感じる。